■ 音楽に関する基礎知識
■ 基礎的用語
(1) 音階
@ 音階とは音を高低の順番に並べたものの1つのことを云う。 すなわち音を周波数で分類し、そのうちの1つの周波数を音階という。(注)
A 音階とは 周波数の異なる音の集合体である。
B 音階とは1つの曲の中で使う周波数の異なる音の集合体である。
(例)自然長音階、自然短音階、旋律短音階、和声長音階 等
(注)同じ意味で「音程」という用語がつかわれることもある。
(2) 音律
音律とは音階をある法則にもとづきまとめた音階の集合体である。
(3) オクターブ(1つ上のオクターブの周波数は2倍である)
異なる音階の割合の 底が2に対数の絶対値が1の場合の音階差(音程差)を 無次元の単位として 1オクターブと定義する。
たとえば ある音(A音)の周波数Faが ある音(B音)の周波数Fbの 2倍の関係にある時
すなわち log 2 ( Fa / Fb) = log 2 2 = 1 [オクターブ] の場合
「A音は B音より 1オクターブ高い」
「B音は、A音より 1オクターブ低い」 と云う
(4) 十二平均律(1つ上の音律は1.059(= 2の12乗根)倍である)
・十二平均律とは西洋音楽の音律のひとつで、現在最もよく使われており一般に音律と云う時この十二平均律をさす場合が多い。
尚、他の平均律としては 15平均律、17平均律、…、53平均律、72平均律もある。
・ 十二平均律とは、1オクターブを12等分した音律である。ここで云う 等分とは 等差によるものではなく 等比による等分のことである。
すなわち ある周波数F0の音階の 高音側の隣り合う音階の周波数は、 F0 x ( 1 + 1/12) ではなくて F0 x ( 12 √2)(2の12乗根)である。
( 12 √2) = 1.0594386... = 2 **(1/12)
** : べき乗を表す
したがって、1オクターブの音域の12平均律の12個の音階の周波数は、以下の数列としてあらわすことができる。。
@ …… F0
A …… F0x2**(1/12) = F0 x ( 12 √2)
B …… F0x2**(2/12) = F0 x ( 12 √2)x( 12 √2)
C …… F0x2**(3/12) = F0 x ( 12 √2)x( 12 √2)x( 12 √2)
D …… F0x2**(4/12) = F0 x ( 12 √2)x( 12 √2)x( 12 √2)x( 12 √2)
E …… F0x2**(5/12) = F0 x ( 12 √2)x( 12 √2)x( 12 √2)x( 12 √2)x( 12 √2)
F …… F0x2**(6/12)
G …… F0x2**(7/12)
H …… F0x2**(8/12)
I …… F0x2**(9/12)
J …… F0x2**(10/12)
K …… F0x2**(11/12)
|
(注1) 階名として「ドレミファソラシド」が使われることもある。
(5) ピアノの鍵盤と音階の関係
上記のリストの音階欄の■塗りの欄が ピアノ鍵盤の黒鍵盤に対応します。 ドレミファソラシの欄が白鍵盤に対応します。
白鍵盤の音を 「幹音(かんおん)」と呼び、黒鍵盤の音を「派生音」と呼びます。
(6) 全音、半音
半音、全音とは音と音との高さの関係をいいます。上記の12平均律のリストの隣り合う音階の高さ(周波数)の関係は半音です。
ドレミファソラシドの隣り合う音階の関係でみると、ミとファ 及びシとドの関係が半音の関係で その他のドとレ、レとミ、ファとソ、ソとラ、ラとシの関係が全音です。
(7) 音符での打鍵指示
音符で半音上げたり(#)、半音下げたり(♭)する打鍵指示は、以下のように記載します。
半音上げる | |
半音下げる |
(8) 固定ド唱法と移動ド唱法
・ ヘ長調の曲の音名を読むとき 主音のファをドとよむ 唱法が移動ド唱法である。 すなわち へ長調の音階「FGABCDEDF」の音名は 「ドレミファソラシド」となる。
一方 ファはファのまま読むのが固定ド唱法である。すなわち ヘ長調の音階「FGABCDEDF」の音名は 「ファソラシドレミファ」となる。
・ 日本では クラシックの教育機関・楽器演奏では固定ド唱法が、ポピュラー音楽の教育機関・声楽では移動ド唱法が一般的であると云われている。
■ 音階
(1) 長音階と短音階
1オクターブの音階グループは どこからはじめるか 7つの組み合わせがあるが、 通常 長音階と短音階と呼ばれる 以下の2つが用いられる。
1. 長音階
・ ド 全 レ 全 ミ 半 ファ 全 ソ 全 ラ 全 シ 半 (ド)
・ 長音階は「長調の音階」とも呼ばれる。
・ 先頭の音名「ハ」から始まる音階「ドレミファソラシ」を 「ハ長調」と呼ぶ
・ 先頭の音名「ニ」から始まる音階「レミファソラシド」(「ドレミファソラシ」と呼ぶ考え方もある)を 「ニ長調」と呼ぶ
・ 先頭の音名「ヘ」から始まる音階「ファソラシドレミ」(「ドレミファソラシ」と呼ぶ考え方もある)を 「へ長調」と呼ぶ
・ 先頭の音名「ト」から始まる音階「ソラシドレミファ」(「ドレミファソラシ」と呼ぶ考え方もある)を 「ト長調」と呼ぶ
2. 短音階
・ ラ 全 シ 半 ド 全 レ 全 ミ 半 ファ 全 ソ 全 (ラ)
・ 短音階は「短調の音階」 とも呼ばれる。
・ 短音階はラの音から始まる。
(2) 音階の各音
・ 音階の各音には 名称が与えられ曲においての 役割・順番等が定められている。
この規定を無視した個別の音階の羅列は音楽とはならない。
長調の 場合 |
短調の 場合 |
名称 | 役割 | 備考 | |
第1音 | ド | ラ | 主音(しゅおん) | 一番核となる音、安定する音で、基本的には曲の始め、終わりにこの音を使用する。 | |
第2音 | レ | シ | 上主音(じょうしゅおん) | 主音と中音をつなぐ。 | |
第3音 | ミ | ド | 中音(ちゅうおん) | 音階の性格を決める重要な音である。 | |
第4音 | ファ | レ | 下属音(かぞくおん) | 主音・属音に次いで音階の中核を成す音である。 | |
第5音 | ソ | ミ | 属音(ぞくおん) | 主音に次いで重要な音音である。 | |
第6音 | ラ | ファ | 下中音(かちゅうおん) | 中音ほどではないが音階の性格を決める音である。 | |
第7音 | シ | ソ | 導音(どうおん) | 旋律を主音へ導く音である。 |
(3)ハ長調
・先頭の音名がハ(C)から始まる音階「ドレミファソラシ」である。
・ハ(C)を主音とする長調である。一部の幹音を派生音に変更したものも含め下記の3種類がある。
@ 自然長音階 …… 音階構成として、幹音だけで音階を構成
A 和声的長音階 …… 音階構成として、幹音のラ(A)を 半音下げたラ♭(A♭)に変更したもの
B 旋律的長音階 …… 音階構成として、音を下げるにあたってのみ、幹幹音のラ(A)を 半音下げたラ♭(A♭)に、また幹音のシ(B)をシ♭(B♭)に下げたもの
ハ長調の音階構成 | |||||||||||||||
音階: UP →Down | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 7 | 6 | 5 | 4 | 3 | 2 | 1 |
自然的長音階 | ハ(C) | ニ(D) | ホ(E) | へ(F) | ト(G) | イ(A) | ロ(B) | ハ(C) | ロ(B) | イ(A) | ト(G) | へ(F) | ホ(E) | ニ(D) | ハ(C) |
和声的長音階 | ハ(C) | ニ(D) | ホ(E) | へ(F) | ト(G) | イ♭(A♭) | ロ(B) | ハ(C) | ロ(B) | イ♭(A♭) | ト(G) | ヘ(F) | ホ(E) | ニ(D) | ハ(C) |
旋律的長音階 | ハ(C) | ニ(D) | ホ(E) | へ(F) | ト(G) | イ(A) | ロ(B) | ハ(C) | ロ♭(B♭) | イ♭(A♭) | ト(G) | へ(F) | ホ(E) | ニ(D) | ハ(C) |
(4) ヘ長調
・先頭の音名がへ(ファ)から始まる音階「ドレミファソラシ」である。
・へ(F)を主音とする長調である。一部の幹音が派生音に変更されている。 下記の3種類がある
へ長調の音階構成 | |||||||||||||||
音階: UP →Down | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 7 | 6 | 5 | 4 | 3 | 2 | 1 |
自然的長音階 | へ(F) | ト(G) | イ(A) | ロ♭(B♭) | ハ(C) | ニ(D) | ホ(E) | へ(F) | ホ(E) | ニ(D) | ハ(C) | ロ♭(B♭) | イ(A) | ト(G) | へ(F) |
和声的長音階 | へ(F) | ト(G) | イ(A) | ロ♭(B♭) | ハ(C) | ニ♭(D♭) | ホ(E) | へ(F) | ホ(E) | ニ♭(D♭) | ハ(C) | ロ♭(B♭) | イ(A) | ト(G) | へ(F) |
旋律的長音階 | へ(F) | ト(G) | イ(A) | ロ♭(B♭) | ハ(C) | ニ(D) | ホ(E) | へ(F) | ホ♭(E♭) | ニ♭(D♭) | ハ(C) | ロ♭(B♭) | イ(A) | ト(G) | へ(F) |
(5) 調と調号記号
調号記号 | 長調 | 短調 | ♯又は♭が付加され 半音周波数変化する音 |
ハ長調 | イ短調 | なし | |
ト長調 | ホ短調 | ファ | |
ニ長調 | ロ短調 | ファ、ド | |
イ長調 | 嬰ヘ短調 | ファ、ド、ソ | |
ヘ長調 | ニ短調 | シ | |
変ロ長調 | ト短調 | シ、ミ | |
変ホ長調 | ハ短調 | シ、ミ、ラ |
■ 音の長さ
(1) 音価
音価とは、音楽において、ある音(または休止)に与えられた楽譜上の時間の長さのことである
四分音符や八分音符は それ自体は絶対的時間の長さは規定されていない。 下記のテンポと合わせ絶対的な長さが(その曲において)定義される。
(2) テンポ
・ 1分間に於ける泊数をいう。
・ 単位として bpm(beat per minutes) や M.M. が用いられる。
・ 測定装置としては メトロームが用いられる。
・ 五線譜の初めに 泊数をnとして 四分音符を用い = n と云った表記がされる。これは以降の曲の四分音符の長さが
n個で1分となることをあらわす。 (→実際の曲の例)
たとえば = 120(テンポ120の曲) であれば その曲における
四分音符の長さは 60 sec ÷ 120 = 0.5 sec となる。
(3) 各音符記号の長さ
No | 名音符称 | 音符記号 | 意味 | 時間の割合 |
1 | 全音符 | 4分音符の4倍の時間継続 | T0x4 | |
2 | 2分音符 | 4分音符の2倍の時間継続 | T0x2 | |
3 | 4分音符 | ・曲頭に記載されるテンポn( = n)より 定まる時間を表す。 T0 = 60 ÷ n [sec] ・各音符の基準となる時間 |
T0 | |
4 | 8分音符 | 4分音符の1/2倍の時間継続 | T0/2 | |
5 | 16分音符 | 4分音符の1/4倍の時間継続 | T0/4 | |
6 | 32分音符 | 4分音符の1/8倍の時間継続 | T0/8 | |
7 | 全休符 | 4分音符の4倍の時間の間無音 | T0x4 | |
8 | 2分休符 | 4分音符の2倍の時間の間無音 | T0x2 | |
9 | 4分休符 | 4分音符の時間の間無音 | T0 | |
10 | 8分休符 | 4分音符の1/2倍の時間の間無音 | T0/2 | |
11 | 16分休符 | 4分音符の1/4倍の時間の間無音 | T0/4 | |
12 | 32分休符 | 4分音符の1/8倍の時間の間無音 | T0/8 | |
13 | 付点 | ・付点が付く音符の1.5倍の時間継続 ・左記四分音符付点の場合は 四分音符の時間の1.5倍の時間継続 |
T0x1.5 | |
14 | 複付点 | ・複付点が付く音符の1.75倍の時間継続 ・左記四分音符複付点の場合は 四分音符の時間の1.75倍の時間継続 |
T0x 1.75 |
(4) テンポ範囲の通称
音楽の世界ではテンポの範囲は以下の通称で呼ばれている。
通称 | テンポ範囲 | 感覚的イメージ | |
@ | ラルゴ(Largo) | 40〜60bpm | 幅広く、ゆるやかに。超スローテンポ |
A | アダージョ(Adagio) | 54〜76bpm | ゆっくりと。スローテンポ |
B | アンダンテ(Andante) | 66〜84bpm | 歩くような速さで。ミディアムスロー |
C | モデラート(Moderato) | 84〜120bpm | 中ぐらいの速さで。ミディアムテンポ |
D | アレグレット(:Allegretto) | 104〜132bpm | やや快速に。ミディアム〜アップテンポの中間 |
E | アレグロ(Allegro) | 120〜168bpm | 適度に快速に。アップテンポ |
F | プレスト(Presto) | 168〜224bpm | 急速に。ハイスピード |
G | プレスティッシモ(:Prestissimo) | 200〜 | 非常に速く。超ハイスピード |
(5) 連符
連符は、現在の拍に応じた通常の分割とは異なる分割数の拍のことです。連符は、通常の分割パターンで拍内に入る音符よりも多いまたは少ない音符を拍に収める場合に使用されます。 音譜に於ける連符の書き方には、非常にたくさんの種類がある。 |
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・単純な連符
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