色は匂へど散りぬるを
我が世誰ぞ常ならむ
有為の奥山今日越えて
浅き夢見じ酔ひもせず   
     

いろは歌には隠されたメッセージがあります。
いろは歌を利用して、次の暗号を残したのです。
いろは歌を7文字ずつ区切って表記すると↓

いろはにほへと
ちりぬるをわか
よたれそつねな
らむうゐのおく
やまけふこえて
あさきゆめみし
ゑひもせす

各行の最後の文字は「と」「か」「な」「く」「て」「し」「す」となります。これは「咎無くて死す(罪を犯していないのに、無実で死ぬ)」という意味です。
五文字目を続けて読むと「ほをつのこめ(本を津の小女)」となります。つまり、「私は無実の罪で殺される。この本を津の妻へ届けてくれ」の暗号が込められています。

《1.いろはにほへど ちりぬるを (色は匂へど散りぬるを)》
世の中の楽しいこと悲しいこと、幸せも不幸も、金持ちも貧乏人も、これらの目に見える現象はすべて、いずれ変化し消えてなくなってしまう、むなしいものなのだ。

《2.わがよたれぞ つねならむ (我が世誰ぞ常ならむ)》
私の人生も誰も永遠でありえようか。いつかは変貌し、消滅してしまう。すべてがこの世に存在しないまぼろしなのだから

《3.うゐのおくやま けふこえて (有為の奥山今日越えて》
有為(人間の所行=愛と憎しみ、幸福と不幸)の深い山を今日越えて

《4.あさきゆめみじ ゑひもせず (浅き夢見じ酔ひもせず)》
実体がない浅はかな夢など見ることはやめる。酒に酔って現実逃避もしない覚悟だ。

大乗仏教では、夢や愛はよくないものとされます。それは、煩悩に過ぎません。すべての現象(色)は実体のない幻想(空)なのです。色即是空。
愛と憎しみ、幸福と不幸、そんな対立など初めから実体がないことを悟って、対立を超越したとき、人は、自分のまわりを慈悲で満たし、心と世界が極楽になります。
この大乗仏教の悟りを表した歌が、いろは歌です。